東海地方の実践

 はじめまして静岡県の杉本です。
 過日の「環境保全型小資源稲作全国集会」では大変勉強をさせていただきありがと
うござい
ました。
あんなにも大勢な方が勉強し工夫をしている姿を拝見し、生来、怠け者で臆病な自分
にとって
心イタイものでしたが、「こりゃ〜もっと気張らにゃ〜」と反面ファイトも湧いてま
いりました。

 さて、まず自己紹介ですが
名前     杉本 勇
ブランド名    野良日和 (ノラビヨリではなくノ〜テンキと読んでください)
住所        静岡県藤枝市谷稲葉333番地  〒 426−0083
/fax      054−645−1921
         (自分は夜8時以降054−645−1923に居ることが多いで
す)
E-mail       s_nora(アットマ)d6.dion.ne.jp
HP URL     一年後をめどにただ今準備中

 以前、医薬品メーカーに勤務しておりましたが、「今の日本はおかしい。米の年間
生産量と同
じ量の残飯を出してるわが国は、いずれ食べ物に仕返しをされる日がくる。その時の
ために今
から百姓を始め、米を作る」といって、就農してから7年めになります。
  医薬品メーカーに勤めていたこともあって、薬の怖さも承知しておりましたので、
でき得る限り
農薬は使わないで栽培したいという気持ちは、就農時から持っておりました。又、た
またま近所
に30年近く農薬も化学肥料も使わないで、お茶を栽培している塚本さんという方が
居られ、「農
は命のために命を育むものだ」「風土(FOOD)異なれば民族同じからず」という身土
不二・旬とい
うものの考え方に共感を覚え、何とかいわゆる有機農業でやりたいと決心しました。
 現在は、梨25a・茶45a・水稲250aの栽培をいたしております。
  お茶の栽培は勿論有機栽培で、農薬も化学肥料も一切使用しておりません。塚本さ
んの主宰
する清茶会というグループに所属し、仲間の製茶工場で荒茶加工し、全量を塚本園に
出荷して
おります。
小売の注文に対しては基本的には塚本園( 054-641-5045)より発送しております。
 梨は、その栽培方法と果実という特性からどうしても農薬を使用せざるをえませ
ん。それでも
慣行栽培の2分の1以下に散布回数を減らした減農栽培をいたしております。散布時
期も越冬
病害虫の密度を減らす目的で、収穫後と春先が主で、収穫一ヶ月前からは散布しませ
ん。勿論、
除草剤は使用しておりません。
肥料は田子漁港の魚ぼかしを主体にした有機肥料を施用しております。

  さて、主題の水稲ですが、除草剤も含めた農薬を一切使用しない水田は約8aで
す。その他の
水田は、初期の一発除草剤を一回だけ使用しております。
 水稲は、初期の一発除草剤だけはしょうがないのかぁ〜と諦めていましたが、4年
前、たまた
ま友達の紹介で、MOAの方の水田を拝見する機会に恵まれました。除草剤も使用し
ていない
のにコナギが散見される程度でほとんど雑草がない。その方は、田植え後一週めに動
力の除
草機を使い、直後に米ぬかを100kg/10aまき、その後また一週間後に除草機を使
用するとい
う方法をとっておられました。お話を聞くうち、「こりゃ〜いける」と思い、早速除
草機を購入し、
米ぬかも貯蔵し始めました。
 その翌年とにかく30aを試験的に始めてみましたが、ここで大きな問題にぶち当
たりました。
@田んぼが深く(最低でも15cm以上は耕さないといけないという思い込みによっ
て)除草機を
   使うのも、米ぬかをまくことも大変な重労働で、しかも時間がかかり過ぎまし
た。
   この時期は一年のうちでも一番忙しい時で、お茶の施肥、梨 の摘果・袋がけと
いった作業も
   並行して行っており、もっと省力化しないと除草機を使う時期が遅れてしまい、
草を寝 かせる
   だけといったことになってしまいます。
   米ぬかについても、動力散布機、水口からの流し込みと試してみましたが、均一
に散布でき
   ません。
A貯蔵していた米ぬかも古いものは虫が湧き固まっている。とっても使える状態では
ありませ
   ん。急遽ライスセンターから調達しました。
B砂地で、水持ちが悪く半日も水が入らないと背が見えてきます。したがって常にか
け流しの
   状態で、上流から雑草の種ばかりか、雑草そのものも流れてきてそのまま居着い
てしまいま
   す。
結局、そんなんかんなんで半分諦めて、それでも癪だから比較的水持ちのよい8aだ
けは除草
剤も使わない栽培を続けています。

 しかし、先の全国集会で九州の後藤さんの「あぜ塗り機の話」「二回代かきによる
トロトロ層の
話」「5cm耕起の話」などから、作業の軽減、水持ちの改善という点で、ひょっとし
たら上手く行く
かもしれないと思えてきました。とりあえず、20a試してみようと思います。
 上手く行ったとして残る問題は、育苗と、米ぬか、ジャンボタニシです。
プール育苗については場所の問題もあり来年以降の検討課題とし、問題は米ぬかで
す。
除草効果のほか食味、登熟の向上という点でも米ぬかは使いたいと思います。如何に
確保し、
均一に散布するかが問題です。いい知恵がありましたらお教えください。特に米ぬか
ペレットに
ついてはもっと情報が欲しいと思いました。
 残る問題は、ジャンボタニシです。
私の作付けしている全ての水田にジャンボタニシはいます。
ジャンボタニシによる除草も議題にありましたが、ほかの分科会に出席しており、残
念ながら聞
いておりません。水深をとれば特に分けつ枝に食害がありそうですが......。

以上、ごちゃごちゃと書いてまいりましたが、とりあえずご返事まで。

PS
@この時期、遠くまで出かけることができません。近隣で、プール育苗など実際に
やっておられ
  る方がいらっしましたらお知らせください。
A豊コシヒカリ(故井原豊さんが18年かけて選抜された、晩系短稈コシヒカリ)の
種籾を一燈園
   より入手しました。既に栽培されている方がいれば、管理上の留意点など教えて
ください。                                               
     平成12年3月25日                                    
           ノーテンキ 勇

(世話人より)
どなたか、杉本さんの「相談」返事していただけませんか。「豊コシヒカリ」については、「井原死すともへの字は死せず」をご覧ください。
僕も、熊本の後藤清人さんの「二回代かき」、なんか脈がありそうだなと思っているのです。
農文協の豊田(映像担当)という僕の後輩、百姓したことないんだけど、彼のイネを見る目は信用できるるのです。その彼が、「山下さん、後藤さん、面白いからぜひ見にいきなさいよ」という。
民間稲作研究所の稲葉さんが、お誘いかけてくれたので、昨夏、行ってきました。
後藤さんのポイントは、僕なりに整理すれば、
@冬の間耕起しないで、四月下旬、スズメノテッポウが出穂するころ、ボカシを振って、二回耕起(表層のみ)緑肥鋤き込みの意味(?)二回というのは、きっと一回では、雑草が再生するから(?)
A水深を5センチぐらい、たっぷり水を入れて(かご車輪から水が逃げていくぐらい)、やはり表層のみ、二回代かきをする。
B荒代と本代の間に、田んぼの表面を露出させて、雑草の発芽を促す。
C本代で、ゆっくり丁寧に代かきをして、土をとろとろにする。
じゃないかしら。
詳しくは、「第二回環境保全型稲作全国集会」の資料を見るか、雑誌「現代農業」の連載紀事を見てください。
後藤さんは、今年このページで追っかけしてみたいなと思っています。後藤さん、よろしくね。
それから、ジャンボタニシがいてこまるのだったら、それを利用しないてはないと思うけどなあ。
単行本「除草剤を使わないイネ作り」(農文協)をぜひ見てみてください。
韓国なんか、わざわざ、ハウスで養殖しているんですよ。びっくりしました。


桑原武雄                 (2000.4.1)
岐阜県養老郡上石津町一之瀬558−1
定年後、町役場で営農アドバイザー(週2日)

(経営)
水稲25アール、ハウス55u、露地(野菜、花卉)10アール。全部朝市で直売。
米は有機無農薬のため、全部消費者と契約して直売。しかし今年は、全面積がブロックローテーションに入り、減反で困っています。

(除草剤を使わない田んぼ)
平成11年度は、町内で120アール(6人)。そのうちの一人の田んぼでは、近所の人が植えなおしてはどうか。皆が心配してくれましたが、後半良くなり、450kg/10aの収穫がありました。
皆が、あの水田で倒伏もなく、良く取れたと感心していました。

(動機)
1998年に、鯖江市で開かれた「除草剤を使わないいね作り」シンポジウムに参加してから、特に取り組んでみたいと思いました。
それまでは、有機減農薬の米作りを、研究会等を組織して、指導しておりました。
私自身、長い間改良普及員と退職後は、JA大柿技術主幹、その後町役場で地域農業の活性化に取り組んでいますが、退職後は、稲作もV字型稲作にとらわれず、各地に出かけ、への字型稲作に取り組み、その後有機減農薬で始めたが、無農薬に興味を持つようになり、消費者からも強い要望がありました。

(やり方)
私の地域は、みずもちがあまり良くなく、基盤整備後も、深水にして1,5〜2日くらいです。
去年は、米糠を50kg/10aを風を利用して、「箕」で土手の上(1,2m)から散布しました。
前面に良く広がりましたが、その後、風で風下の畔に集まりましたので、10日後に、2回目の散布(50kg/10a)
結果は、水口より10〜20メートル当たりが後半に入り、ウリカワが多く発生しました。
手取り除草なしで、490kg/10aでした。
町内では、85アールを6人で、滋賀県西藤秀夫氏考案の天祥米ペレットを使い、雑草が多い人、少ない人いろいろでした。、田植え直後に200kg/10a散布するのが大変な作業ですが、元肥一発施肥でよく、通勤兼業農家の中には、その後深水管理だけで良く、今年も実施したという人もいます。

(工夫)
2001年までに、畦畔を補強して、深水とボカシ150kg/10aで栽培してみたいと思っています。

(苦労)
当地では、コシヒカリ、8月1日ころ出穂します。昨年は、8〜9月に熱帯夜が続き、腹白米が多く、等級もほとんど2等でした。今後も続くようなら、品種と用水期間を変更しなければ解決しません。
しかし、9月は台風シーズンです。これもあわせて考慮しなければなりません。
ん何問題ですが、今年の指導は、疎植(11株/u〜15株/u)にして、夜間は冷水をかけ流しにするよう指導したいと思います。
何か良いアイデアはないでしょうか。

(メッセージ)
昨年、公民館講座の8表χで、私たちの有機無農薬の成績発表をしたところ、消費者から、強い反応がありました。
こんなときこそ、無農薬有機米をいっそう栽培したくなります。まだ完全ではないが夢が膨らんできます。私自身指導していますので、町内外から視察にこられます。私の圃場が実証圃みたいなものですので、指導も楽です。
疎植(11株/u)への字農法、生産費も低減していて、収量も多く、600kg/10a前後です。
昨年は、8月31日に突風、大雨、落蕾と大変でしたが、ほかの水田は全面倒伏したのに、クラブ員の圃場は倒伏せず、不思議がられました。